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Pet Concierge(賃貸版)開発ストーリー 


—ペットと人が「ともに暮らす」住まいをどう実現するか——。
それは、単に「ペット可」と表示する以上に、運営の仕組みと居住者同士のつながり、そして管理会社・オーナー側の申請・管理システムの知恵を要するテーマです。

—ペットと人が「ともに暮らす」住まいをどう実現するか——。
それは、単に「ペット可」と表示する以上に、運営の仕組みと居住者同士のつながり、そして管理会社・オーナー側の申請・管理システムの知恵を要するテーマです。今回は、首都圏の賃貸マンションで、“ペット飼育申請書”による運用を起点に、入居者・管理会社・オーナーが一体となって“共生”をカタチにした高橋さん(仮名)にお話を伺いました。

「近年、賃貸入居希望者の中で“ペットも一緒に暮らしたい”というニーズが着実に増えていました。管理会社として見えてきたのは、「ペットを許可する」のみではなく、飼育開始・登録・日々のマナー・共用部での振る舞いなどを仕組みとして支える必要があるということでした。さらに、管理会社が“ペット飼育申請書”や“ワクチン接種証明書”といった書類処理に追われており、その手間と時間コストが明らかになっていたのです。」


1. “ペット可”の時代から、“ペット共生”の時代へ

高橋さんが関わっていたのは、築2000年代初頭の賃貸マンション。募集条件に「ペット相談可」「小型犬のみ可」などの文言が付いていたものの、実際の運用では「途中からの飼育」「猫+犬」「頭数多め」というケースには明確なルールがないため、入居希望者・管理会社双方にとって“手続き・管理上の曖昧さ”が残っていました。
このような賃貸物件において、設備仕様・規約・運営が揃って初めて“ペット共生型”と捉えられるという指摘もあります。

高橋:「ペットを飼いたいと考える入居者だけでなく、ペットを飼っていない入居者にも『この建物なら安心だ』と思ってもらえる環境を整えたかった。そのためには“ペット可”というラベルだけでは足りず、“共に暮らせる関係性”を運営で築くことが必要だと感じました。」


2.“ルール”を変えるより、“現場の運用”で整える

高橋さん:「賃貸の場合、“どう運用するか”の積み重ねなんです。分譲のように理事会で議決するわけではありませんから、私たち管理会社が、入居者とオーナーの間に立って調整していくしかないんです。」

当該物件では「ペット相談可」と記載されていたものの、実際は犬・猫の種類、体重、飼育数などの基準が明確でなく、入居時の確認やトラブル対応が担当者ごとにばらついていました。
また、入居時の「ペット飼育申請書」や「ワクチン証明書」などの提出書類は紙ベースで、やり取りが煩雑。
「どの部屋でどんなペットが飼われているか」をリアルタイムで把握できないという課題もありました。

高橋さん:「一番大変なのは、申請書や証明書の管理です。」

  • 入居申込時点で「ペット飼育申請書」を必須化し、種類・頭数・体重・ワクチン情報を初回登録。
  • オーナーにも共有できる一覧表を作成し、飼育状況や注意点を見える化。
  • 入居後の確認は、更新時に通知を出し、期限切れワクチンや未申告変更を早期発見。

高橋さん:「“ルールを厳しくする”のではなく、“運用を明確にする”という発想に変えました。
結果として、入居者も安心し、オーナーからも“書類が整理されたことで安心感がある”と言われるようになりました。」


3. トラブルを防ぐのは「ルール」ではなく「関係性」

高橋さん:「当物件では、最初に“ペット飼育申請書”を出されたのはごく数世帯でした。ですが、実際にはすでにペットを飼われている入居者さんで、申請をしていない方も目視や共有部での気づきで“あ、飼っていたのだな”というケースが少なくありませんでした。そこで私たちは、『まず名前だけでも申請してもらえますか?』という声掛けから始めました。これは監視ではなく、対話の入口です。」

実際に賃貸物件では、途中からペットを飼おうとする際に、オーナー・管理会社への連絡・書類提出・費用支払いといった準備が必要になるケースが確認されています。
また、管理会社側として「ペット飼育申請の書類作成/提出確認/保存管理」といった作業が増えるという指摘もあります。

高橋さん:「私たちは“ルールを守ってもらう”というより、“みんなで暮らしの質を高めていく”という関係性づくりに重きを置きました。
たとえば、共用廊下での毛や排泄物、鳴き声の苦情があった時には、『これは飼い主・非飼い主関係なく気になるサインだから、皆で声を掛け合いましょう』と案内しました。そうすることで、申請書をためらっていた入居者さんも「まず申請しておこう」という気持ちに変わっていき、共用部トラブルも少しずつ減りました。」

このように、管理会社として「書類やルールの周知」だけでなく、「入居者同士・管理会社・オーナーの関係性をどう育むか」という運営姿勢が、トラブル予防には不可欠です。


4. 「ペット共生」は、賃貸経営にも付加価値をもたらす

高橋さん:「賃貸経営において、入居者の入れ替わり・空室リスクは常に意識すべきです。そこで、“ペットを飼いたい人”という需要を掘り起こせることは大きなメリットになります。」
実際、管理会社の視点では、ペット飼育申請・飼育開始後の管理業務が増えることも指摘されています。例えば、申請書の作成・受理・差し戻し・郵送・といった作業です。
高橋:「当物件では、“ペット+人”両方の居心地を高めることで入居者の定着率が改善し、空室の問い合わせ数も上がりました。ペット共生を“付加価値”として捉えることで、経営的にも成立するという実感を持つことができました。」


5. Pet Concierge へ —“知恵”をデジタルと人の手でつなぐ

高橋さん:「私たちが先行して築いた“ペット飼育申請書”による運用体制は、言わば“人によるペット共生コンシェルジュ”でした。入居者同士が声をかけ、管理会社が調整し、トラブルの芽を会話の中から静かに摘む。ですが、同時に“熱意ある人”の努力に依存しているという限界も感じていました。」
賃貸運営では、日々の苦情対応、飼育登録、申請書類の作成・確認、住人説明会の開催、引き継ぎ体制の整備など、管理会社・オーナー双方にとって人的負荷が大きいのが現実です。
Pet Concierge はこの「知恵を仕組みに落とす」ことを目指します。