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「不動産テック」と「プロップテック」の違いとは?注目のサービスもご紹介

スマートホームや非対面接客ツールの導入など、不動産業界においても×テクノロジーが進んでいます。不動産テックという言葉が浸透する一方で、プロップテックには馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、不動産テックとプロップテックの違い、そして同業界を牽引する企業やサービスについてお伝えします。

「不動産テック」と「プロップテック」は何が違うのか

不動産テックとは、「不動産(real estate)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語です。
一方、プロップテック(PropTech)は「Property(プロパティ)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語ですが、意味は不動産テックと同義といえます。

尚、東京大学不動産イノベーション研究センターの発表によると、プロップテックには、以下のような定義ができ始めているとされています。

PropTechの定義(Baum-Deasley (2017)の定義)
PropTech:不動産業界の幅広いデジタル変革のごく一部として、この言葉は、建物や都市のデータ複合、 取引、建物や都市のデザインにおけるテクノロジー主導の革新に関する、不動産業界とその消費者のメ ンタリティの変化を引き起こす動きを表している。

つまり、”PropTech”は、商品そのものよりも、より広いデジタル変革の一部であり、精神的変革ともいえるとのことです。
不動産テックとプロップテックの違いを挙げるとすれば、これらの定義の違いになるでしょう。

また、日本では不動産テックという言葉が浸透していますが、近年の欧州を中心とした各国においては、”PropTech”を使うことが増えており(例:オックスフォード大学研究所、MIPIM PropTech)、米国では、ReTechとCreTechが用いられることも少なくないそうです。

不動産テック/プロップテック業界が見える「カオスマップ」

1.日本の不動産テック カオスマップ
不動産テック協会より、不動産テック業界を把握するのに役立つ「カオスマップ」が公開されています。
最新版では305サービスが掲載されており、過去と比較すると年々サービス数が増えていることが伺えます。

上記のカオスマップに掲載される企業は、不動産テック協会のガイドラインにもとづき、以下のカテゴリーに分類されます。

VR・ARVR・ARの機器を活用したサービス、VR・AR化するためのデータ加工に関連したサービス
IoTネットワークに接続される何らかのデバイスで、不動産に設置、内蔵されるもの。また、その機器から得られたデータ等を分析するサービス
スペースシェアリング短期〜中長期で不動産や空きスペースをシェアするサービス、もしくはそのマッチングを行うサービス
リフォーム・リノベーションリフォーム・リノベーションの企画設計施工、Webプラットホーム上でリフォーム業者のマッチングを提供するサービス
不動産情報物件情報を除く、不動産に関連するデータを提供・分析するサービス
仲介業務支援不動産売買・賃貸の仲介業務の支援サービス、ツール
管理業務支援不動産管理会社等の主にPM業務の効率化のための支援サービス、ツール
ローン・保証不動産取得に関するローン、保証サービスを提供、仲介、比較をしているサービス
クラウドファンディング個人を中心とした複数投資者から、webプラットホームで資金を集め、不動産へ投融資を行う、もしくは不動産事業を目的とした資金需要者と提供者をマッチングさせるサービス
価格可視化・査定様々なデータ等を用いて、不動産価格、賃料の査定、その将来見通しなどを行うサービス、ツール
マッチング物件所有者と利用者、労働力と業務などをマッチングさせるサービス(シェアリング、リフォームリノベーション関連は除くマッチング)
物件情報・メディア物件情報を集約して掲載するサービスやプラットフォーム、もしくは不動産に関連するメディア全般

2.米国の不動産テック カオスマップ
プロップテック先進国といえる、米国の不動産テックカオスマップは、ベンチャー企業やスタートアップ企業の動向を調査し発表している「VENTURE SCANNER」によって作成されています。

最新版(2021年4月時点)では2015社が掲載されており、日本とは、掲載数が大きく異なります。
また、カテゴリーの違いも注目すべきポイントです。
Home ServicesのようにDIY文化のある米国ならではのカテゴリーが設けられている点が特徴的。また、業務支援サービスにおいては、Property Management、Constitution Management、Portfolio Management、Facility Management、Real Estate Agetnt Toolsに細分化されています。

注目の不動産テック/プロップテックサービス

不動産テック協会作成の不動産テックカオスマップから、今回は「管理業務支援」「VR・AR」「IoT」の3つのカテゴリーにおいて、注目のサービスをご紹介します。

  • 管理業務支援×不動産テック/プロップテック

Bambooboy株式会社 ​「ReDocS(リドックス)

ReDocSは、Bambooboy株式会社が提供するクラウド型の賃貸管理ソフトです。
シンプルで操作しやすく、​募集、入居者対応、家賃管理、更新、送金明細、月次報告、解約など実際に賃貸管理業務を行う際の流れに沿って必要な機能が網羅されているのが勁み。

株式会社いえらぶGROUP「いえらぶCLOUD

いえらぶCLOUDは、株式会社いえらぶGROUPの不動産テックに特化した業界垂直統合SaaSサービスです。
リーシング機能と賃貸管理機能だけでなく、客付業務で必要な機能も取り揃えているため、あらゆるデータを一元管理することが可能。

株式会社オクト「ANDPAD

ANDPADは、株式会社オクトが提供する施工管理アプリです。
電話・FAX・メールなど、アナログで煩雑な現場のコミュニケーションもチャットアプリで円滑化。図面や工程表もアプリ上で時間や場所にとらわれず確認できます。

  • VR・AR×不動産テック/プロップテック

ナーブ株式会社「VR内見®

VR内見®は、ナーブ株式会社の不動産仲介店舗で物件を内見できるVRサービスです。本サービスは、実際の物件に案内されているかのような体験を提供可能にした。コロナ禍における需要の高まりを受け、オンライン接客ができる「おうちでVR」も提供している。

  • IoT×不動産テック/プロップテック

株式会社Secual「Secual(セキュアル)」

Secualは、工事不要で簡単に窓やドアに設置しスマホと連携して使えるホームセキュリティサービスです。IoTデバイスを活用し、防犯・防災・見守りサービス等を展開。通知はスマホに即座に届くという。

まとめ:「不動産テック」と「プロップテック」は同義!日本でも不動産×テクノロジーの活用は高まる傾向に

不動産テックもプロップテックも、不動産×テクノロジーを表す言葉でした。
国土交通省が策定した「不動産ビジョン2030」にもあるように、これからの不動産業は少子高齢化・人口減少の進展や技術革新など、取り巻く状況が大きく変化していくといわれています。その変化に柔軟に対応するには、テクノロジーの活用が肝となるでしょう。

現在は、企業規模が大きくなるほど導入割合の多い不動産テックサービス。
まだまだアナログな業務も多い不動産業界ですが、この10年のうちにテクノロジーの活用の有無によって、企業成長にも大きく差がつくのではないでしょうか。

本コラムでは、不動産テックの知識や活用ノウハウ、米国の最新不動産テック企業、日本と海外の不動産テックサービスの違いなど、役立つ情報をお伝えできればと思います。
定期的にチェックしてみてくださいね。

<参考URL>
レポート:東京大学連携研究機構 不動産イノベーション研究センター(CREI)
https://www.crei.e.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2020/08/200811_%E3%80%8C%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8D%E3%81%A8PropTech%E3%81%AE%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E5%9C%B0.pdf
一般財団法人 不動産テック協会「カオスマップ」
https://retechjapan.org/retech-map/
Venture Scanner Sector Maps
https://www.venturescanner.com/2021/02/19/q1-2021-venture-scanner-sector-maps/
不動産ビジョン2030
https://www.mlit.go.jp/common/001287086.pdf