~AI×マンション管理の「近未来」に何を期待するか?〜
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お話を聞いた方々
臨海エリアのタワーマンションのフロントマネージャー。合計2,000戸を管理している。コンシェルジュ及び防災センターのコスト負荷等により10年後の管理費負担増シミュレーションに不安。
千葉エリアのタワーマンション1棟と低層マンション含めて30~300戸のマンションを12棟管理している。2年前お客様専用コールセンター稼働開始により業務が改善していると感じている。
神奈川エリアのファミリー物件のマンションを小規模から大規模まで11棟、約1,000戸を管理している。15年のキャリア。マンション管理の省人化とフロントの職能と今後キャリアについて日頃より問題意識を持っている。
*お名前は個人を特定しないように仮名となっています
分譲マンションを支える大手3社フロントマネージャーに聞いてみた
分譲マンションの管理は、通常管理組合(マンション所有者で構成される団体)が行いますが、専門的な知識が必要とされるため、管理会社に委託されるケースがほとんどです。管理会社はフロントマネージャー、マンション管理員やコンシェルジュという役割を通じてマンションをサポートしています。
今回は、分譲マンションを支えるフロントマネージャーの3人にお話を聞いてみました。
フロントマネージャーと管理員の仕事って?
分譲マンションを支える人は沢山いるのですが、大きく管理員、コンシェルジュ、フロントマネージャーに分かれることをご存知ですか?
それに加えて入居者からの相談や苦情の受付もマンション管理人が行っています。受け付けた内容は管理会社(フロントマネージャー等)に報告するなど、入居者と管理会社をつなぐ役割も担います。タワーマンションでは管理員ではなくコンシェルジュと呼ばれることもあります。
では、フロントマネージャーの仕事は何をしているのでしょうか?
フロントマネージャーは管理会社から配置され、管理組合の運営サポートを行います。管理会社と管理組合の間にフロントマネージャーが存在するイメージで、管理員業務と兼務することも少なくありません。フロントマネージャーの仕事は、管理員の教育、管理組合の理事会・総会の運営サポートや、建物管理を行う専門業者の手配、管理費の滞納催促等があります。マンション管理員やコンシェルジュの上司に当たるといえばわかりやすいでしょうか。
さて、フロントマネージャーの3人はどんな仕事をしているのか?現在、マンションの管理員不足が社会課題となっていますが、デジタル化はどこまで進んでいるのか?など質問していきましょう!
私はフロントマネージャーとして、都内のタワーマンション2棟2,000戸を管理しています。 主な仕事は、8人いるコンシェルジュの育成やフォロー、管理組合の理事会への出席や大規模修繕計画の業者手配、マンション内施設や設備の対応など、基本的な業務をチームで日々こなしている感じです。
私は、タワーマンションや低層マンション含めて30〜300戸のマンションを常に10棟以上は管理しています。主な仕事は理事会・総会運営業務(資料作成など)や日々のトラブルや問い合わせ対応です。日々の問い合わせ対応はかなり多いですよ。
私は、神奈川エリアのファミリー物件のマンションを小規模から大規模まで11棟、約700戸を管理しています。マンションには管理人がいますので、管理組合の理事会資料の作成、管理員や入居者からの日々のトラブル対応や工事業者等への連携が私の主な仕事です。10年以上フロントマネージャーをしておりますが、時代と共に色々な問題が起きて、その変化も楽しみながら、対応してます。
フロントマネージャーのある1日の流れ
ありがとうございます。フロントマネージャーの1日の流れはこんな感じでしょうか。
- 会社に出勤
- 朝礼
- 会社からの共有事項の確認
- メールチェック
- 個別対応
- 協力会社(清掃・点検など)への依頼
- 担当しているマンションへ訪問
- 管理員やコンシェルジュとのミーティング
- 現地での対応業務
- 会社に戻り理事会資料の作成や事務処理など
会社での事務仕事から現地での居住者への対応や業者手配までいろいろな仕事を担当されているんですね。さすが分譲マンションを支えるフロントマネージャー。頭が下がります!
AI×マンション管理の「近未来」に期待することを聞いてみた
私の管理しているタワーマンションでは、住民とのコミュニケーションは専用ホームページで行っています。問い合わせフォームから連絡が入るので、こちらで緊急度を確認しながら対処できるんです。電話で対応しなければいけないことが少ないので、本当に助かっています。
コンシェルジュとのコミュニケーションはSlackというチャットツールを活用しています。緊急の時にしか連絡は来ないので、一日3-4件といったところでしょうか。コンシェルジュは20-30代なので、こういったツールにも慣れていて、こちらもありがたいです。
住民からの問い合わせはコールセンターがまず一次受けをして、まとめたものが私たちにメールで送られてきますので電話対応は少ないです。管理員とのやりとりはMicrosoftのteamsのチャットを使っています。4時間対応のオペレータがいるのですが受付のみなので、依頼されたことの対応は翌朝から順次行っています。その対応だけで午前中いっぱいかかってしまいますね。
管理員とのやり取りをチャットでされてるんですか?!それは羨ましいですね。私どものマンション管理員からの連絡は、ご高齢の方が多いので、だいたい電話ですよ。パソコンが置いてあるマンションに関しては電話ではなくメールで連絡をもらうようにお願いしてはいるんですが、どうしても電話になってしまうみたいで。
住民からの問い合わせはカスタマーセンターが受けて担当者にメールが届く仕組みになっています。通常は一日5件位です。現状、デジタル化というと、そのくらいでしょうか。
現在かなり体制が整っていて、困っていることはないですね。対応の優先順位は会社でルールが決まっていて、そのレベルに合わせて対応すれば良いので、その点についても特に困ることはないです。
協力会社(点検、清掃会社、発注先)とのアナログなやり取りが多いことですね。点検・清掃の時に問題が発覚して、急ぎの場合には直接私どもに連絡がきます。ここはまだまだ電話がメインなので、履歴がデジタルでは残りにくいところが困っています。
大変ということではないのですが、カスタマーセンターに電話で入った問い合わせや要望がメールで担当者宛に入る時に、文字だけではなく写真が一緒に送られてくるとありがたいなと思っています。文字だけではわからないことも多いので、迅速に対応するためには、状況の把握が早くできたほうがいいので。
タワーマンションは管理費が高いため手厚いサポートができているのですが、弊社で扱っている中規模マンションでは人手不足が死活問題なので、省人化、無人化できる仕組みは必要とされてきていると強く感じています。
また今後は、タワーマンションの管理費、修繕積立金が値上げになっていくことが予想されますので、経費節減という意味でもAIを使った省人化は必要となってくると思っています。なので、どんなことができるのか未知数ですが、AIコンシェルジュの導入には期待したいです。
例えば、コールセンターから担当にくるタスクなどがダッシュボードに振り分けられて、まとまっていると、分かりやすくて便利だろうなと思います。同時多発的に色々なことが起こるので、視覚的に見れるのが把握しやすくて助かるんですよね。その時に”依頼者”が誰なのかがすぐにわかるとさらにいいですね。森田さんのところのように、緊急度がルール化されていないので、順次対応しているんですが、対応中に、「こっちの方が急ぎの案件だった!」なんてこともあって、バタバタしてしまうので。
住民の問い合わせや対応依頼に対して未対応な案件がないよう、ダッシュボードでフロントマネージャーが何をしなければならないのという次のアクションが一目でわかるようになるといいですね!
また、何か起きたトラブル等に対して、結果こうなったという報告が一覧で出力できると理事会資料にそのまま使えるので業務効率化に繋がります。その際に写真があるとわかりやすいので、ぜひ写真も簡単に掲載できるようにしてほしいです。
携帯のチャットでの写真送信などを、管理員さんとか業者さんができるといいですよね?
そうですね。私どものコンシェルジュはその辺、チャットで報告とか、写真送るだけという方が楽みたいで。ありがたいです。8人から毎日電話が来ると思うとぞっとしますよ。
いやいや、管理員だけじゃなくて、業者からも毎日電話が来ますからね。FAXもくるんですよ。あります?FAX!その対応がパソコン一つでできたらどんなに楽かと感じてます。まぁ、会話するのも楽しいときもあるんですけどね。FAXで誤字を見つけたり。
わかります!わかります!(笑)
みなさんの素晴らしいお話がたくさんうかがえました。せっかく、盛り上がってきたところなんですが、一旦この辺でお開きにさせていただきます!
本日は、ありがとうございました。