未来のエネルギーとして期待されているペロブスカイト太陽電池。2050年のカーボンニュートラル達成に向けて注目され、政府も技術協力に力を入れています。
私たちは、ペロブスカイト太陽電池をビル管理のESG施策として注目をしています。
ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス/企業統治)を組み合わせた言葉です。ESGは企業が環境・社会・企業統治に配慮する考え方であり、社会に負う責任でもあります。ESGは、企業が長期的に成長するためには欠かせない考え方として世界に広がっています。
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取り組み事例
◆世界で初めてのメガソーラー高層ビル
東京都千代田区「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」で建設予定のサウスタワーの壁面にペロブスカイト太陽電池 を設置し、「世界で初めてのメガソーラー高層ビル」となる導入が発表されています。世界初の「開発中のフィルム型ペロブスカイト太陽電池によるメガソーラー発電機能を実装した高層ビル」となる予定で、都心部における創エネルギーの最大化およびエネルギーの地産地消の拡大への取り組みになるようです。
こちらは前述の「薄い」、「軽い」、「曲げられる」といった特長を活かした新たな設置方法が計画されています。
出典:積水化学「世界初 フィルム型ペロブスカイト太陽電池による高層ビルでのメガソーラー発電の計画について」
◆住宅用ペロブスカイト太陽電池の共同開発を開始
三井不動産と京都大学が、住宅用ペロブスカイト太陽電池の共同開発を開始しました。今度、三井不動産レジデンシャルのマンション等で活用し、より実際のすまいやくらしに近い環境で実証実験を実施していくようです。ペロブスカイト太陽電池を三井不動産レジデンシャルが供給するマンションの共用部分におけるデザイン性の高い照明や家具、居室内のインテリアへ設置し、日中の太陽光を蓄電し、夜間利用などへの活用を予定している、とのことです。
◆青葉台駅における実証実験
学校法人桐蔭学園、東急株式会社、東急電鉄株式会社、横浜市の4者が行う東急田園都市線・青葉台駅正面口改札前自由通路での ペロブスカイト太陽電池 の実証実験において東芝が ペロブスカイト太陽電池 を提供しています。
地域の方々が日常的に利用される青葉台駅正面口改札前自由通路において、同電池の特長である屋内の光の下での発電実証実験を行い、同電池の性能を確認し、各者の保有する資産(既存建物、駅、車両、高架橋など)への同電池の設置など将来の活用方法の検討をするそうです。
参照:東芝「大面積フィルム型ペロブスカイト太陽電池の提供について」
◆スタートアップ企業であるスイフト・ソーラー(Swift Solar)
太陽光発電のスタートアップであるスイフト・ソーラー(Swift Solar)は、シリコンと組み合わせて発電効率をより高めたタンデム型太陽電池として、年内にも商業化される見込みが出てきた。
参照:ペロブスカイト太陽電池の商業化競争、鍵はシリコンとのタンデム
設置場所の可能性が格段に広がる
今までのシリコン太陽電池では重さの関係で乗せられなかった工場の屋根や建物の壁、公共エリア、鉄道の周辺の空間、空港の周り、海辺等様々な場所での設置が期待されています。
曲げられるため湾曲した場所にも設置ができる
飛行機、ドローン、農業ハウス、E V自動車など
低い光量でも発電ができるため、外壁や窓ガラス、
ベランダ、室内にも設置ができる
壁面、ベランダ、屋上手すりへの設置
軽いため、今まで設置が難しかった場所にも
設置ができる
工場の屋根、カーポートなど
今までにない設置場所への活用が期待されています。
ペロブスカイト太陽電池は日本で発明された技術
ペロブスカイト太陽電池は2009年に桐蔭横浜大学 宮坂 力 特任教授が発明した技術で、発明した際には当初の変換効率は3%程度でした。その後に様々な改良がされて変換効率も現在では15%を超えています。
「ペロブスカイト」は、次のような形態の結晶構造を指します。ペロブスカイト太陽電池は、この構造を持つ化合物を発電層として用いるものです。
出典:資源エネルギー庁
ペロブスカイト太陽電池の特徴
ペロブスカイト太陽電池の特徴は曲げられる、軽くて薄い、低コストであると言われています。
出典:一般社団法人沖縄CO2削減推進協議会「次世代太陽電池ペログスカイト太陽電池について」
・曲げられる
特に今までのシリコン太陽電池とは違い、薄くて曲げられる点を活かして、今まで設置できなかった場所への設置が期待されています。
・軽くて薄い(厚さ1ミリ)
従来のシリコン太陽電池と比べて薄さは約100分の1、重さも約10分の1や25分の1と言われています。
・低コスト
塗布や印刷技術で量産が可能になるため製造費用が抑えることができます。薄くて軽いというメリットを活かして設置コストの削減も期待されています。
国産の材料で作れる
原材料のヨウ素は日本が世界で第2位の埋蔵量を誇ります。(生産量は世界2位)材料が国産で賄えるということはエネルギーの安全保障という意味でも大事です。
その他にも様々なメリット
ペロブスカイト太陽電池は、弱い光でも発電できるという特徴があります。前提として太陽電池は天候に左右されますが、ペロブスカイト太陽電池はシリコン太陽電池とは異なり、朝夕や曇りや雨天などの日照が悪い日や、室内のLED照明でも発電ができるという特徴があります。
シリコン太陽電池にプラスα
シリコン太陽電池との比較をしてきましたが、シリコン太陽電池の市場と競合になるではなく、プラスαになると予想されています。また、シリコン太陽電池とロブスカイト太陽電池の両方の利点を活かしてさらに変換効率を上げるタンデム型(ハイブリット型)も研究開発がされています。
課題
メリットばかりではなくまだまだクリアしなければならない課題もあります。
・耐久性が弱い。吸湿性があり発電効率が下がることや、赤外線や紫外線に弱い性質があること。
・原料がヨウ化鉛(毒性・発がん性があり、また血液、肝臓、神経に障害が出る)とヨウ化メチル(咳・ 咽頭痛・ 吐き気・ 嘔吐・ 下痢・ 頭痛・ めまい・ 嗜眠・ 脱力感・ 痙攣・錯乱・ 死、 症状は遅れて現われることがある)を使用しおり、安全性に問題があります。
・面積を大きくすることが難しく、性能にばらつきがでる。
日本でももちろん世界でも研究開発が進む「ペロブスカイト太陽電池」はESG施策としても今後も目が離せません!
参考:一般社団法人沖縄CO2削減推進協議会「次世代太陽電池ペログスカイト太陽電池について」
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