出典:品川区「品川区中高層建築物等の建設に関する開発環境指導要綱」第19条(令和8年1月30日改正・令和8年7月31日適用)/品川区都市計画課ヒアリング(2026年6月4日)
品川区は令和8年1月30日、「品川区中高層建築物等の建設に関する開発環境指導要綱」を改正し、同年7月31日から適用することを発表した。管理基準を定める第19条の条文は、改正後も「事業主は、建築物の適切な維持および管理を行うため、管理人を設置するなど適切な管理方法を確立するものとする」と規定されているが、「管理人を設置するなど」という表現が示すとおり、管理人の設置はあくまで例示であり、適切な管理方法の確立が義務の本体となっている。
これまで品川区では、指導要領により管理人の駐在日数・時間が具体的に定められており(29戸未満:定期的駐在、30〜49戸:週5日・4時間程度、50〜99戸:週5日・8時間程度、100戸以上:常駐)、機械警備やITシステムによる代替は事実上認められてこなかった。今回の改正はその運用を見直し、新築の共同住宅等に限り、管理形態の多様化に対応した管理方法を認めるものだ。
品川区都市計画課に直接確認したところ、「新築に限っては無人でも良くなる」ということだった。もちろん適切な管理方法がされていることは前提条件となる。また、既存物件は今まで通り管理人の駐在が必要となるが、協議は可能とのこと。当社では既存物件の管理についても「適切な管理」と言える方法について品川区に提言をしていく予定である。
改正のポイント(管理業者が押さえるべき3点)
① 対象は新築物件のみ。既存物件は従来の運用が引き続き適用される(個別協議は可)
② 管理人の設置義務は残る。「管理人を設置するなど」の「など」が多様な管理方法の根拠となる
③ 具体的な管理方法の内容は区との協議によって決まる。事業者側からの提案力が問われる局面
品川区の共同住宅における「管理基準」の更新
| トピック | 内容 |
| 根拠法令 | 指導要綱(法的拘束力のない行政内規。条例・施行規則より拘束力が弱い) |
| 改正日・適用日 | 2026年1月30日改正 → 2026年7月31日適用 |
| 緩和の対象 | 新築物件のみ。既存物件は従来通り(ただし協議は可能とのこと) |
| 改正前の基準 | 29戸未満:定期的駐在 30〜49戸:週5日・4時間程度 50〜99戸:週5日・8時間程度 100戸以上:常駐 |
| 改正後の基準 | 新築物件に限り「管理人の駐在」以外の管理方法(無人管理等)を容認 |
出典:品川区「開発環境指導要綱」および「ワンルーム要綱」の改正(統合)について(令和8年7月31日から適用)
東京23区・管理形態の柔軟化へ
改正の背景には、東京都内における管理員の深刻な人手不足がある。品川区担当者(都市計画課、2026年6月4日訪問)へのヒアリングによれば、今回の改正は概ね5年ごとの定期見直しのタイミングに合わせて実施されたもので、改正概要には「共同住宅等における管理形態の多様化」への対応が明示されている。
業界視点でみると、品川区は指導要綱ベースのため条例に比べて法的拘束力は相対的に弱いものの、機械警備やIT代替を事実上認めてこなかった運用実態において、23区のなかでも厳格な対応を続けてきた区のひとつだ。その品川区が管理形態の多様化に踏み出したことの意味は小さくない。
品川の改正は、近年の緩和トレンドの一環として位置づけられる。
| トピック | 内容 |
| 世田谷区(令和6年6月) | 週4日・2時間以上の駐在時間要件を事実上撤廃。管理システム活用で巡回管理も認可 |
| 中央区(令和7年7月) | 区長認定制度を整備。100戸以上で同等管理の申請協議が可能に |
| 葛飾区(令和4年) | 要綱から条例に格上げしつつ内容は大幅緩和。24h緊急連絡対応可能であれば機械警備等でも可 |
| 中野区(直近) | 施行規則改正により30戸以上・50戸以上での機械警備等による同等管理を認可 |
| 新宿区(2026年10月1日施行) | 30〜99戸を対象に駐在日数を週7日から週5〜6日に短縮可 |
こうした流れを合わせてみると、東京23区全体として管理方法の選択肢を広げる方向に潮目が変わりつつあることは明らかだ。一方で、各区の改正は対象範囲・条件・法的根拠がそれぞれ異なり、「どの区の、どの規模の物件で、何が認められるか」を精査することが実務上の前提となる。
管理業者としては、新築案件における管理計画の設計から見直しの機会が生まれる。区との協議においては、提案する管理方法が「適切な管理方法」として認められるための具体性と実績が問われる。提案の枠組みを整備しておくことが実務対応の第一歩となるだろう。
※本記事は各区担当窓口への直接ヒアリングおよび公開資料に基づいています。要綱等の改正により内容が変わる場合があります。
23区の規制8区分マップ
当社では2024年より、東京23区の担当課窓口への直接ヒアリングにより、マンション管理員(管理人)条例を調査しています。有人常駐を原則とする区がある一方、機械警備や巡回管理での対応を認める区も存在し、規制水準は区ごとに大きく異なります。下表は、各区の規制の厳格度を7区分に整理したものです(2026年6月11日現在)。
| トピック | 内容 |
| 例外規定なし(厳格) | 渋谷区・品川区*・江東区・荒川区 → 機械警備・IT代替NG |
| 小規模は巡回可 | 墨田区・大田区 → 大規模では有人管理を要求 |
| 100戸以上で例外あり | 新宿区*・中央区・北区・板橋区・台東区 → 区長認定等で同等管理が可能 |
| 30〜50戸以上で例外あり | 千代田区・中野区・足立区・杉並区・文京区 |
| 区長判断で緩和可 | 豊島区・港区・練馬区 |
| 大幅緩和・時間規定なし | 世田谷区・目黒区・葛飾区 |
| 規定なし | 江戸川区 → 賃貸マンションに関する管理員規定が存在しない |
記事の内容は2026年6月11日現在のものです。
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